第59回全国学校体育研究大会 学校体育優良校


福島県立南会津高等学校

校長 橋本 忠広

〒967-0631

福島県南会津郡南会津町界字向川原2000番地

TEL:0241-73-2221

FAX:0241-71-5006

 

 

1.研究主題

 「新体力テスト実施方法の工夫」

  ─生徒が主体的・積極的に取り組むために─

 

2.研究の期間

 平成20年度~令和元年度 12年間

 

3.研究の目的

 本校における新体力テストの結果は、平成19年までは実施人数に対するA段階者の割合は30%台(右記表参照)で推移していた。決して低い割合ではないが、平成20年度から生徒が自分自身の健康や体力の現状に興味を持ち、主体的に新体力テストや授業に取り組むことによって、さらにこの割合を多くできないか検討した。そして新体力テストの実施方法と体つくり運動の工夫・改善に取り組むこととした。

 

4.研究の実践内容

 例年10月に新体力テストを実施しているが、年度初めの5月上旬にも体つくり運動の単元のなかで体力・運動能力のレディネスチェックとして新体力テストと同じ内容を実施し記録を測定した。1年生の体力・運動能力の実態把握と2・3年生の前年度からの変化を把握し、授業展開や指導方法の改善に活かすことを目的とした。年間に2回、3年間で計6回新体力テストを実施することでPDCAのサイクル期間を短くすることができ、生徒が自分自身の体力・運動能力に今まで以上に興味を持ち、目的意識をもって授業に取り組むのではないかと考えた。また、前回の記録(1年生5月は中学校の記録)をもとに各生徒に種目の数値・得点目標を設定させ取り組ませた。授業においては、3年生選択履修・スポーツⅡの時間に授業開始からの10分間を各個人の課題解決のための体つくり運動の時間とし、各個人で活動内容を決め毎時間取り組んだ。

 

5.研究の成果

 新体力テストの結果や生徒の実態に応じて、単元としての体つくり運動や毎時間の導入部分で行う体つくり運動を改善しながら継続して実施した結果、平成20年度以降は新体力テストにおいて、実施人数に対するA段階者の割合が50%前後となっている。(下記表参照)

年度 実施人数 A段階人数 割合
18 144 52

36%

19 143 54

38%

20 130 68 52%
21 145 85 56%
22 144 75 52%
23 141 81 57%
24 132 70 53%
25 133 77 58%
26 126 80 63%
27 128 68 53%
28  132 76 57%
29 138 74 53%
30

140

69 49%
R1 134 74 55%

 また、A段階者の割合が増えただけでなく、半年間で新体力テストの記録が大きく伸びていることもわかる。(下図表参照)

 これらの結果は、目標を設定し新体力テストを実施することによって生徒が新体力テストに真剣に取り組むようになったことはもちろんだが、生徒が自分自身の体力・運動能力に興味を持つようになったことで、体育の授業や部活動に積極的に取り組むようになったことと、日常生活においても運動やスポーツが取り入れられるようになった結果ではないかと考えられる。スポーツⅡの授業では、新体力テストの結果をもとに自分自身の課題解決・目標達成のため、各個人で活動内容を工夫しながら非常に充実した活動を継続している。

 

6.今後の課題

 新体力テストの結果を活かし、生徒が自発的・主体的に運動やスポーツに取り組みたいと思えるような授業をこれからも工夫・改善し実施していきたい。