第59回全国学校体育研究大会 学校体育研究功労者


福士 久子

福島県教育庁職員相談室相談員

 

 

公益財団法人日本学校体育連研究連合会 全国学校体育研究功労者表彰を受賞して

 

 令和2年11月12日、本来ならば福井県で行われるはずであった第59回全国学校体育研究大会福井大会ですが、新型コロナの全国的な感染の状況から本大会は中止となり、大変残念なことでありました。それゆえ令和2年度全国学校体育研究功労者としてその席上での表彰は叶いませんでしたが、後日送付していただきました表彰状を目にして、深い感謝の念がこみ上げて参りました。そして表彰者の一人としてご推薦いただいたことを本当に光栄に存じます。これもひとえに、福島県学校体育研究連合会 会長 小川 宏様 前会長の森 知高様をはじめとする本会関係の皆様、そして私がこれまで出会った諸先輩、同僚、後輩の皆様のご指導・ご支援や児童生徒、保護者の皆様のご理解のおかげと心より感謝と御礼を申し上げます。

 私は、これまでのこの表彰受賞の諸先輩方のような行政経験もありません。このような私が、こうした表彰をお受けしていいのかとも思いました。しかし、ご推薦いただいたこの所以を、さらに今後の自分の生涯体育指導へと生かすことができれば、それこそがこの受賞に値する生き方になるとの思いで、深く感謝の念を抱きながら表彰状を見入りました。

 私の体育人生は、昭和58年教師として初めて教壇に立った須賀川市立阿武隈小学校での、文部省指定の体力づくりの研究校であったことから始まりました。体育の研究校に体育を専門としている自分が赴任できたことは、私の人生の大きなプラスでありターニングポイントであったと思います。昭和58年度から退職に至るまで37年間、福島県小学校教育研究会の体育科に所属し、一貫して学校体育の指導力向上に取り組み、多くの先生方とともに体育科教育の充実、児童生徒の運動能力・体力向上に向き合って来たことも、私の大きな宝となりました。その間、体育科指導に関わる自分の研究テーマを決め授業研究に取り組み、まとめた研究物は、現在も私の本棚にありますし、それは、自分を支える力となっています。

 福島市教育委員会委嘱学校教育指導員として多くの先生方の授業を拝見させていただいたことは、自らの指導の在り方を学ぶ良い機会となりましたし、後の教育庁編纂の「生きる力をはぐくむ体育科の指導資料作成」や「性の指導の手引き」編纂の際も大いに役立ちました。そうした事が、先生方の授業改善の一助になったのであれば、それはこの上ない喜びです。

 退職前3年間は、福島県小学校教育研究会の体育科の体育部長(伊達支部、福島支部)として各支部の部員の先生方とともに体育科の指導法の研究、教材開発等を追求し、また互見授業の推進、「研究集録」の編集に取り組み、教職の集大成として、特に実り多い日々でありました。

 また、私が、最も得意としているのは、ダンス分野であり(現在は福島県女子体育連盟副会長)ダンスの指導研究も多く実践してきました。福島県教育委員会と福島県女子体育連盟との共催で、県下の幼・小・中・高、特別支援学校、大学の各先生方や一般まで幅広く対象を広げて「表現・ダンス指導者研修会」の企画運営・開催を担当できたことは、自分の得意分野を深める良い機会であったとありがたく思っています。このダンス指導の学びを、これからの第二の人生の社会貢献のひとつとして地域の方々や子どもたちと「健康教室」というような形でやれればいいなと、今思い描いてるところです。それが、この受賞の恩返しにつながれば、幸いです。

 今日まで、学校体育と生涯体育を教職人生の柱に据えて取り組めたこと、そしてこうした表彰までいただけましたことは、これひとえに関係各位の皆様の多くのご支援あればこそと改めて深く御礼を申し上げます。

 結びに、福島県学校体育研究会のますますのご発展と会員の皆様のご健勝ご活躍をご祈念申し上げ、全国学校体育研究会功労者表彰受賞の御礼とさせていただきます。


(推薦書)

1.研究業績

 昭和58年度から令和元年度まで37年間にわたり福島県小学校教育研究会体育科研究部に所属し、本県児童の体力向上と体育科授業の実践的な研究を深めるとともに研究部員及び教職員への指導助言に努め、体育科教育の資質・指導力向上に寄与した。

 平成28年度は福島県小学校教育研究会伊達支部体育科部長、平成30年度から令和元年度は、同福島支部体育科部長として、地区内の体育科部員とともに小学校教科体育の指導法の研究、教材開発の実践をまとめた研究集録「Let’s体育」等の編集に携わり、多くの教員へ体育科の指導法の伝播に努力した。

 平成6年度には、福島市小学校研究物展に「エイズ教育の一実践」の論文を出し、推奨を受け、また、平成10年度には、「体育科と道徳を関連させた児童の自己目標達成の指導について」の論文で推奨を受け全体会での発表をした。

 教諭時代、昭和63年度から平成16年度まで、毎年自分自身の体育科における研究テーマを決め、探求心をもって授業研究を重ね研究物をまとめるなど継続した取組をしてきた。

 平成3・4年度には、福島県教育委員会及び福島県学校保健会の編纂である「性に関する指導の手引」の編集委員として作成に携わり、大きな課題とされてきた性に関する指導法改革に寄与した。さらに平成12年度には、福島県教育庁編纂の「児童の夢がかなう福島の教育の実現に向けて」の指導資料作成委員として、「生きる力」をはぐくむための体育科における授業改善、新しい授業の実践と資料編集に尽力した。

  平成7・8年度には、福島市教育員会委嘱学校教育指導員(体育・保健体育)として、体育科教育の指導について自らも研究を深めるとともに、市内の学校訪問をとおして教員の指導助言にあたったり、小教研での全体指導においての指導助言、講師をする等、学校体育の指導力向上に力を注いだ。

 平成12年度には、体育科授業指導者研修会の本県における「表現・ダンス」の指導者講習会の講師を務め、指導者の指導力・資質向上に尽力した。

 平成13・14年度には、福島市教育委員会委嘱学校カリキュラム委員(体育・保健体育)として、市内の学校教育における教育課程、体育科に関する各領域・単元のカリキュラム作成に携わり、体育科教育の充実、児童の運動能力、体力向上のために寄与した。

 

2.学校体育研究団体における活動および役員 等の略歴、研究の成果

 昭和58年度から令和元年度までの37年間、福島県の小学校教育研究会で体育科に所属し学校体育の指導に関わってきた。その間、伊達支部・福島支部で体育科部長を計3年間務め、学校体育科教育の指導力の質的向上はもとより、各教育委員会主催の小学校水泳大会・陸上大会等の運営にも深く携わってきた。平成20年度は、伊達市小学校陸上大会を最初に立ち上げる実行委員事務局長となり第1回開催に尽力した。また平成30年度・令和元年度には、福島市小学校体育大会水泳競技大会・陸上競技大会の実行委員長を務め、その2年間に、国の施策を鑑みた働き方改革の方針を見据えて大会運営の改革に切り込み、同時に児童の体力・競技力向上を目指し体育大会の在り方に一石を投じた。

  平成6年度以降8年余、福島県学校体育研究連合会の教科用図書編集委員として、福島県版の編集に携わり、福島県ならではの指導法や教材の提案に尽力した。

  昭和58年度以降今年度まで、福島県女子体育連盟の役員として、主に表現運動・ダンスの指導の充実に力を注いできた。平成20年度からは、本連盟事業部長として、福島県教育委員会とともに主催する事業「表現・ダンス指導者研修会」の企画・運営にあたってきた。指導力に定評のある大学教授を講師に招き、県内の教員への研修の場を提供し、体育科専門に限らず多くの教員の指導力向上をめざし研修会の充実に尽力した。平成28年度からは、本連盟副会長として会長を補佐し、また県内の幼・小・中・高等学校・特別支援学校・大学と男女問わず、幅広い教員層への表現運動やダンス指導普及のため、本連盟の活動に力を注ぎ現在に至っている。

 

3.勤続年数

 37年

 

4.教職の略歴

 昭和58年 須賀川市立阿武隈小学校教諭

 昭和61年 福島市立土湯小学校教諭

 平成3年 福島市立蓬萊東小学校教諭

 平成9年 伊達郡川俣町立小島小学校教諭

 平成12年 福島市立吉井田小学校教諭

 平成17年 国見町立森江野小学校教頭

 平成20年 伊達市立堰本小学校教頭

 平成22年 福島市立鎌田小学校教頭

 平成24年 相馬市立山上小学校校長

 平成27年 桑折町立半田醸芳小学校校長 

 平成29年 福島市立笹谷小学校校長

 令和2年 福島県教育庁 教職員相談室相談員