第58回全国学校体育研究大会 学校体育研究功労者


星田 弘美

福島県須賀川市立西袋第一小学校長

 

 

公益財団法人日本学校体育連研究連合会 全国学校体育研究功労者表彰を受賞して

 

 令和元年11月31日、埼玉県さいたま市大宮区の大宮ソニックシティで開催されました第58回全国学校体育研究大会埼玉大会の全体会におきまして、令和元年度全国学校体育研究功労者として表彰いただきましたこと、大変恐縮に思いますとともに、心より感謝申し上げます。これもひとえに、福島県学校体育研究連合会会長小川宏様、前会長森知高様をはじめ、本県の本会関係の皆様、さらには、私自身の37年間の教員生活でお世話になった多くの同僚教職員の方々のご指導・ご支援、そして児童生徒や保護者の皆様のご理解とご協力のおかげであると、重ねて心より御礼申し上げます。

 振り返りますと、私のこれまでの教員生活は、昭和58年3月に日本体育大学を卒業し、同年4月に福島県公立学校教員として採用され、須賀川市立第三中学校に赴任したことから始まります。当時は、ご多分に漏れず、生徒指導等の課題をもつ学校でもありました。自分にできることは保健体育科の教科指導や部活動を通して生徒指導に力を注いでいくことだと考え、生徒と体当たりで仕事をしていたことを懐かしく思い出します。それらの視点もあり、「生徒が意欲的に活動する魅力ある保健体育科の授業をどうするか」を模索し、単なる面白い授業というよりは、達成感や挑戦する喜びを味わうことができる授業づくりを目指していたと記憶しています。先輩教師である体育主任の実践を見様見真似してみたり、“少しでも速く走るには?” とか “この技をどう繋げる?” とか、生徒たちとともに考えながら授業を進めるなど、今で言えば、聞こえはいいですが、生徒の思いや主体的な活動を取り入れた授業をしていたように思います。以来、24年8ヶ月を中学校体育教員として、8年4ヶ月を教育行政の一員として勤め、現在は小学校長として4年目を迎えています。

 教育行政機関では、須賀川市教育委員会保健体育課指導主事を2年間、県教育庁県中教育事務所指導主事を3年4ヶ月、その後、須賀川市教育委員会主任指導主事を2年間、管理主事を1年間経験し、多くの先生方の授業を参観したり、協議したりする機会をいただくことができました。このことで児童生徒を育てるという立場だけではなく、教師を育てる立場から学校体育に関わることができ、私自身も多くのことを学ばせていただきました。

 さて、昨今、非常に懸念していることがあります。それは、各自治体の公共施設の老朽化への対応に伴い、その維持管理及び改修費用が膨大になることから、学校プールを閉鎖し、地教委と民間スイミングスクールが委託契約を結び、体育の水泳授業を行うという自治体が増えている傾向があることです。このことにより、これまで各学校が教育課程で年間10数時間の水泳授業を計画・実施し、泳げない児童を少しでも泳げるように等、指導してきた重要な教育機会を、バスでの移動時間を含めて1授業に数時間を要することになることから、年間2~3時間の水泳授業しかできなくなるのです。自分や他者の命を守る水泳能力を幼少期から身に付けることの重要性を軽視することにつながりかねない行政施策であり、学校体育の危機的事案だと思います。皆さんの学校がこのような事態になったとすれば、どう考えますか?

 駄弁を申しましたが、結びに、この度の功労賞受賞に対して、関係各位の皆様に重ねて御礼申し上げますとともに、福島県学校体育研究連合会の益々のご発展と会員の皆様のご健勝、ご活躍を心からご祈念申し上げ、受賞のあいさつとさせていただきます。