第57回全国学校体育研究大会 学校体育優良校


福島市立第一中学校

校長 伊藤 隆幸

〒960-8162

福島県福島市南町480番地

TEL:024-546-3504

FAX:024-539-5140

 

 

1.研究主題

 「仲間とかかわる楽しさを感じながら主体的に課題解決を目指し、活動する体育授業」

 

2.研究の期間

 平成27年度~平成29年度 3年間

 

3.研究の目的 

 本校生徒は保健体育科の授業に真面目に取り組み、技能と体力の向上に努めている。しかし、東日本大震災後、屋外での運動を制限された影響もあり、体力・運動能力テストでは全国平均を下回っており、運動習慣や能力も二極化しているのが現状である。

 どの生徒も運動することが好きになり、生涯にわたる豊かなスポーツライフの実現を目指し、運動に親しむ資質や能力を育てるためには、生徒一人ひとりが主体的に運動に取り組み、運動に対して自分なりの課題を持ち、その課題の解決に向けて仲間と協力しながら学習を進める授業を展開していく必要があるのではないかと考え、研究を推進した。

 

4.研究の実践内容

(1)系統性のある単元指導計画の作成

 学習指導要領、本校生徒の実態、さらには小学校や高等学校での学習内容を踏まえ、中学校3年間の単元指導計画を作成した。各学年で身に付けさせる力、学習内容を明確にすることにより、学年間でのスムーズな連携、連接ができるようにした。

 

(2)兄弟班でのサポート学習

 生徒同士のかかわり合いを目的として、2つのグループを合わせ、兄弟班を編成した。兄弟班の中では互いのグループの課題を確認し合い、協力して練習したり、アドバイスをしたりし合うことで学習を深めることができるように工夫した。また、それぞれのグループにおいて、一人一役の役割分担を行うことにより、全員が確実に活動に参加し、生徒同士がかかわる機会を意図的に増やすようにした。

 

(3)ICT機器の活用

 生徒が個人の運動課題を客観視できるようにしたり、運動イメージを鮮明に持たせたりすることを目的として、タブレット端末を活用した。実際の動きをカメラで撮影し、他者の動きと見比べさせた。また、球技ではゲーム中に分析した項目について、あらかじめ作成した分析シートに入力し、成功率等を算出することにより、チームの課題を具体的に捉えることができるようにした。

 

(4)達成度を確認できる学習カードの活用

 1単位時間1シートの学習カードを使用し、授業のねらいがどの程度達成されたかを毎時間自己評価できるようにした。その自己評価や記述内容を踏まえ、次時の授業を行うようにした。また、学習カードで生徒のつまずきを具体的に捉えることができるため、指導内容を修正しながら、学習内容の確実な定着を目指し、授業を展開した。

 

(5)全国学校体育研究大会での授業発表

 平成281111日(金)に行われた第55回全国学校体育研究大会福島大会において、上記(1)~(4)を研究内容としたバレーボール、ダンスの授業提供をした。

 

5.研究の成果

 兄弟班でのサポート学習を通して、運動に対する意欲を高めたり、課題に対して進んで積極的に取り組んだりする姿が見られた。また、グループ内で一人一役の役割分担を明確に設定し、活動させることにより、グループ内でのかかわり合いが増え、課題解決に向けて互いに意見を出し合いながら学習する様子が見られた。

 タブレット端末を活用し、自分やチームの現状や課題を可視化させることで、課題を捉えやすくなり、一人ひとりが課題をより具体的にした上で主体的に活動する様子が見られた。

 

6.今後の課題

 

 生徒の学びや思考の変容をいかにして見とり、その後の授業や評価に生かしていくかについて、具体的に検討していく必要がある。また、生徒同士のかかわり合いをさらに深め、互いにアドバイスをし合い、学びを深めていくためにはどう指導、支援をしていけばよいか、今後さらに研究を推進していかなければならないと考える。