第61回全国学校体育研究大会 滋賀大会 視察報告

吉田 圭吾

田村高等学校 保健体育科


 【基調報告】

大会主題

「豊かなスポーツライフの実現を目指した、子どもたちの発達段階に応じた系統的な体育・保健体育学習の充実」

 

1 主題設定の理由

 ・新学習指導要領で児童生徒が身に付けるべき資質・能力を三つの柱で整理し、授業改善を推進

 ・マネジメント・カリキュラムの視点から校園種間の指導内容の系統性を整理・確認し、目指すべき体育・保健体育学習の姿の追求

 

2 滋賀県の子どもの実態

 ()令和3年度「全国体力・運動能力、運動習慣等調査報告書」の結果から

 ・体力合計点を全国平均値と比較すると、小学校男女が下回り、中学校男女が上回った。

 ()体力向上に向けた取組

①授業改善の取組

②生活の中での運動習慣化の取組(小学校)

 

3 滋賀県における体育・保健体育研究の成果と課題

生徒の「思考力、判断力、表現力等」を高めるための「セオリー学習」の活用

  →単元内での「セオリー」の取り上げ方や、技術習得につながっているかといった、指導と評価の一体化が図られているかが課題

 

4 研究にむけての体制と研究の視点

  ()研究体制① 授業力向上委員会

  ()研究体制② 各園校種の研究部会

  ()研究の視点① 系統性の整理

  ()研究の視点② 発達段階に応じた課題・解決の視点

    セオリー学習を通して、課題解決に向けた仲間との協力の必要性についても学習する。競技の専門的な戦術の理解を深めるだけでなく、生徒の思考力、判断力、表現力等や学びに向かう力、人間性等を高める一助になっている。

  ()各園校種の研究に迫る授業改善に向けた具体的な手立て

   ① 学んだ内容がわかる・学習の見通しが持てる学習カードの工夫

   ② 効果的な学びとなるICT機器の活用

   ③ カリキュラム・マネジメントの一環としての「学習指導と学習評価」

 

【行政説明】

 「運動部活動の地域移行と地域スポーツの振興について」

  スポーツ庁スポーツ総括官  大西啓介氏

 

【解説】

 「これからの体育・保健体育学習に求められるもの」

  スポーツ庁政策課教科調査官  横嶋剛氏

 

【シンポジウム】

 「運動好きな子どもや日常から運動に親しむ子どもを育む体育・保健体育における学習指導の工夫」 

  コーディネーター 国士舘大学教授 細越淳二氏

 幼・小・中等・大での実践例の紹介と討論

 

【特別講演】

 「豊かなスポーツライフの実現に向けて」~私とスポーツの関わり~

  講師 中京大学教授 高橋繁浩氏

 

 

【公開授業(滋賀県立石山高等学校)

 

 体育では、専門的な戦術の一部をパターン化して提示し、そこから分析、発展に繋げることを目的にセオリー学習を取り入れている。

 

体育ではバドミントンの授業で、グループ内でタブレットPCを活用し、動画撮影を行いながら提示された攻守の入れ替えや仲間を生かす動きをセオリーとして、生徒が協働的に学習に取り組む姿が印象的であった。教具も生徒が主体的に取り組めるよう工夫されており、生徒の技術段階に配慮していた。

 

保健では感染症予防の三原則について、ロイロノートを活用し学習内容を明確にしていた。石山モデル(SKSKサイクル)として、学習内容の定着と対話的な学びから思・判・表の育成と他者との視点の違いの発見を狙いとした取り組みをされていた。

 

 

第58回全国学校体育研究大会 埼玉大会 視察報告

【セオリーの掲示】

 

第58回全国学校体育研究大会 埼玉大会 視察報告

【前時のセオリーの振り返り】

 


【各班でセオリーの手順の確認】

 

【提出する動画を精選】

 


【ロイロノートで学習内容を掲示】

 

【石山モデル(SKSKサイクル)】

 


 研究協議では、今後、共生社会の実現について議論された。カリキュラム・マネジメントの推進に向けても、見通しをもち、生徒の実態に基づいた年間指導計画の作成と、地域の人的・物的資源等の活用の推進が求められる。各学校の取組を参考にしながら、生徒が主体的・協働的に学習できる授業づくりに努めていきたい。