第57回全国学校体育研究大会 佐賀大会 視察報告

朝倉 裕朗

福島県立二本松工業高等学校 保健体育科


【基調報告】

1.     大会主題の設定理由

       一週間の総運動時間60分未満の割合が全国を上回る

       ICT教育の先進(小中高の授業用PCの普及率全国一)

       学習指導要領の改訂に伴い、評価の観点と研究実践を見つめ直す

2.     研究の重点

       「主体的・対話的で深い学び」を実現する授業づくり

       「年間指導計画とその内容の定着に向けた単元計画の作成」カリキュラムマネジメント

      ICTポートフォリオ評価の充実」

 

<解説> 新学習指導要領における体育科、保健体育学習の在り方について

 「主体的・対話的」を単元計画にどう組み込むかという授業デザインと、それを通じて深い学び(=見方が変わること)が起こることが重要である。また学んだことを社会につなげるためには「評価の観点」を生徒自身が自己評価できることが大切である。

 

<シンポジウム> 「主体的・対話的で深い学びの授業改善」

幼・小・中・高・大での討論

 

<特別講演> 「伸びる子を育てるスポーツ指導の見方・考え方」

講師 福島大学 川本和久 先生

 

 

【公開授業(佐賀県立佐賀北高校)】

 タブレットPCを授業で導入し3年が経過した。生徒らは県からの借用というかたちで一人一台所有している。生徒たちは操作にも慣れ、バレーボールの授業ではタブレットPCでゲームを動画撮影し、課題見つけ練習をするという授業を行っていたが、教員からの指示はとても少なく主体的な学びが行われていた。また、タブレットPCを男女共修のコミュニケーションツールとしても活用しており、男子チームの試合を女子チームが、女子チームの試合を男子チームが動画撮影し、対話的な活動を通じて共通する課題を話し合っていたのがとても印象に残った。

柔道の授業では、デジタルポートフォリオとして、受け身や立ち技の形を撮影・保存をして自己評価をするという流れの授業を行っていた。生徒らは自分の技の形を「見える化」することで違いが解り、変化することを具体的に考えて行動していた。また、撮影している生徒や受けの生徒がアドバイスをしたりと、対話的な深い学びが行われていた。

 公開授業全体を通して、タブレットPCが導入の段階ではなく実践として成果を出していると感じた。また、教員が年間指導計画を作成する段階で、タブレットPCを使った授業デザインを計画しており、今回の全国学校体育研究会がICT教育の大きな授業転換のきっかけになったとのことであった。多くの都道府県でICT教育が進んでいるが、佐賀県のICT教育は、これからの教育現場でのモデルとなっていくのではないだろうか。


 【そのほかの報告】

 福士 久子 (福島市立笹谷小学校校長)

 冨田 宏幸 (福島市立福島第一中学校 主幹教諭)